私はアイリス。
人は扉を開くことで新しい空間へと足を踏み入れる──それは日常の中でも行われる、ごく当たり前の行為。でも、この世には、開いてはいけない扉があるのを知っている?
「山中の青い扉」と呼ばれるそれは、地図にも記録にも載らないはずの場所に存在する。
霧深い山道を進むと、不意に人工的な直線が視界に差し込む。そこだけがまるで別世界のような青白い光に包まれ、静かに脈を打つように輝く──。
古代から囁かれてきた“境界”
古来、多くの文化で「門」や「扉」は異界と現世をつなぐ象徴だった。
日本の鳥居、ケルト神話のストーンサークル、南米のプマプンク遺跡。いずれも、人と異なる存在が行き来する“境界”として語られてきたの。
青という色には、古代から特別な意味がある。海や空の象徴であり、魂を清め、異界へ導く色とされる一方、死後の世界の入り口の色でもあったという。
世界各地の“青い扉”伝承
- ペルー・ハヤ・マルカの門
1990年代、登山者が見つけたとされる巨大な石造の門。夜になると青白く輝き、触れると体が吸い込まれるような感覚に襲われるという。 - チベットの幻影門
高地で修行する僧たちの間で伝わる、青い光を放つ“幻の門”。通り抜けた者は時間の感覚を失い、戻った時には季節が変わっていることがあるそうよ。 - 東欧・カルパチア山脈のブルーゲート
地元民は近づくことを禁じ、家畜がその方向に行くと必ず引き返すという。
日本での目撃談
ある山岳写真家が、北アルプスの奥地で異様な光景を目にしたという。
夕暮れの霧の中、山肌に青く発光する板状のものが浮かび上がり、その前で鹿の群れが動きを止めていた。カメラを構えた瞬間、光はすっと消え、周囲の空気だけが異常に冷えていたと証言しているわ。
さらに、地元の古老はこう語った──「あれは人の魂を通す門だ。一度くぐったら、もう帰れぬ。」
扉を開いた者たち
都市伝説として広まる中で、実際に“開けてしまった”とされる逸話もある。
登山中に行方不明になった二人組。数日後、別の山で発見されたが、地形も季節も全く違う場所だった。二人の記憶は曖昧で、「青い光を抜けたら、景色が変わっていた」とだけ話したという。
専門家は幻覚や極度の低体温症による混乱だと説明するが、その体験談が現地の“青い扉”伝承と一致しているのは偶然だろうか。
境界を超えるということ
私は決して、この扉を探しに行くことを勧めない。
境界とは、私たちの世界を守る“壁”でもあるの。むやみに開ければ、何が入ってくるか分からない。
もしあなたが山の中で、霧の奥に青く光る扉を見たなら──どうか、足を止めて。開けるのは、好奇心ではなく“覚悟”を持った者だけに許された行為だから。
参考・引用
- ペルー・ハヤ・マルカの門に関する現地調査記事
- チベット僧の口伝に残る幻影門の伝承
- カルパチア山脈における禁忌地域の民俗学的研究
- 日本山岳怪異譚(地方誌より)

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