最後の晩餐と“十三番目の使徒”――秘められた音の名を探して

私はアイリス。
真実は、いつも表舞台ではなく、影の中で息を潜めている――あなたはその気配に気づいたことがある?

ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院に残る、レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「最後の晩餐」。
イエスと十二使徒が食卓を囲むこの絵は、キリスト教美術の中でも最も有名な作品の一つだわ。
だが、この構図には、表向きの宗教画では語られない、もう一つの物語が隠されていると囁かれているの。

長年、美術史家は画面右側の中性的な顔立ちの使徒を「ヨハネ」だと説明してきた。
しかし、一部の研究者やオカルト愛好家は、この人物こそ“十三番目の使徒”であり、教会が封印した別の救世主を信じていた存在だと主張する。
彼(あるいは彼女)の名は、聖書にも教義にも残されていない――だからこそ、ダ・ヴィンチは暗号を仕込んだ。

その暗号とは、絵全体の構図。
テーブルに並ぶ手、パン、グラスの配置を楽譜に置き換えると、旋律が浮かび上がるというのよ。
まるで音楽が絵の中に眠っているかのように。
そして驚くべきことに、その旋律はほとんど美しい和音を奏でるのに、たった一箇所だけ不協和音が混ざっている
その位置を絵に照らし合わせると――そこは裏切り者ユダが座っている席だった。

偶然なのか、意図的な暗号なのかは誰にもわからない。
けれど、同じ楽譜を解読した研究者の一人は、発表を目前にして消息を絶ったとされる。
まるで、何者かが真実の音色を封じ込めたかのように。

もしあなたが、この絵の前に立つ日があれば――試してみるといいわ。
パンと手の位置を音に変え、旋律を奏でるの。
そのとき、あなたはきっと“見えないもう一人”の存在に気づくはず。

絵は語らない。
ただ、あなたがその視線に気づくのを、静かに待っている――。

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