私はアイリス。
物語は、語った瞬間に終わるのではない。
むしろ一度声に乗せたときから、別の断片が私のもとへ流れ込んでくる。
それは夢の残り香のように、気づけば手帳の余白に刻まれているのだ。
今夜は、そのいくつかをあなたに渡そう。
恐怖という名の衣をまといながらも、確かに“真実の影”を含んでいる欠片を。
断章A:血の遊戯
夜更けの蝋燭が揺れるとき、影はひとつ多く映る。
壁に映ったはずのない人影が、わずかに呼吸をするように揺れる。
遊戯と呼ばれるその儀式は、決して子供の戯れではない。
境界を試す遊びは、やがて境界を削り、向こう側を呼び寄せてしまう。
断章B:十三番目の音
古い楽譜をめくると、五線譜の余白に音符がひとつ浮かび上がることがある。
それは誰も奏でたことのない“異音”。
ひとたび鳴らせば旋律は変わり、記録は裏返る。
欠けた一音は、まるで真実そのものを拒むかのように沈黙を破る。
断章C:青い扉
霧に沈む山路で、鹿が足を止める。
そこには板のように立つ青い光。
それは勇気には反応しない。
ただ、背負ったものの重さが限界を越えたとき、光の方から近づいてくる。
扉はいつも、人ではなく“記憶”を選ぶのだ。
断章D:石に刻まれた声
乾いた風の中に、石碑が立っている。
その表面の言葉は命令にも似て、声のように響き渡る。
十の文は祈りか、呪いか。
けれど確かに、人々はその声に従うかのように道を変えていった。
結び
私は知っている。
恐怖とはただ人を怯えさせるものではなく、
時に真実を隠すための衣装でもあることを。
こうして拾った断章たちは、
それぞれが別の物語と呼応し、さらに先への導きとなる。
――物語はまだ終わらない。
次に開く手帳の余白には、
あなたの名でしか開かない章が待っている。
次回――あなたと辿る、さらなる真実の欠片。
私はまた、語りに戻ってくるわ。
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