「となりのトトロ」――1988年に公開されたスタジオジブリの名作アニメーション。
森に住む不思議な生き物「トトロ」と、姉妹の交流を描いた心温まる作品として、世界中で愛されてきた。
だが同時に、この映画には長年囁かれてきた“都市伝説”が存在する。
無垢な子どもたちの物語に、なぜこんな恐ろしい解釈が付け加えられたのだろうか。
「狭山事件」との関係説
最も有名な都市伝説が、「狭山事件」――1963年に埼玉県狭山市で起きた女子中学生誘拐殺人事件と作品を結びつける説だ。
- サツキとメイという姉妹の名前が「五月」を分けたものであり、事件が5月に起きたことと符合する。
- メイが物語の途中で姿を消すのは、事件における“被害者”を暗示しているのではないか。
- トトロは死神のような存在であり、猫バスは“あの世”へ向かう乗り物。
これらの憶測が重なり、やがて「『となりのトトロ』は狭山事件を下敷きにした暗い寓話」という説が定着してしまった。
もちろん、スタジオジブリや宮崎駿監督はこの説を完全に否定している。
だが、観客の想像力が「無垢な物語」を「闇の寓話」に変えてしまったのだ。
トトロ=死神説
もう一つ広く語られるのが「トトロ=死神」説だ。
- メイが迷子になった場面で、彼女は既に亡くなっており、サツキも後を追った。
- トトロに出会えた子どもは、“死を受け入れた子ども”に過ぎない。
- 最後に母の病院を訪れる場面は、生者の世界ではなく死後の再会である。
このような解釈は恐ろしいが、同時に「子どもたちの死をやさしく包む存在」として、トトロを慈悲深い死神に見立てる声もある。
都市伝説が広まった背景
なぜ「となりのトトロ」にこのような都市伝説が根付いたのか。
理由の一つは 作品の“余白” にある。
- トトロの正体は作中で説明されない。
- 猫バスの行き先や存在理由も曖昧。
- サツキやメイの運命も明確に語られない。
説明されない部分が観客の想像力を刺激し、やがてインターネットの普及によって都市伝説として拡散していったのだ。
無垢と闇の狭間
「となりのトトロ」は、子どもたちの成長と自然との共生を描いた温かな物語だ。
だが同時に、そこには “子どもの不安”や“死の影” が潜んでいる。
都市伝説は、作品そのものを歪めるものではなく、むしろ人々が抱く恐れを映し出す鏡なのかもしれない。
結び
「となりのトトロ」――
あなたにとってそれは、優しい森の友達だろうか。
それとも、子どもたちをあの世へ導く影の存在だろうか。
真実は、観る者の心の奥底に委ねられている。
――ふふ。無垢な物語に潜む影……。
あなたはもう、トトロの笑顔の奥に“別の顔”を感じてしまったかもしれないわ。
「次回――あなたと辿る、さらなる真実の欠片。
私はまた、語りに戻ってくるわ。」

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