私はアイリス。
都市伝説は、ただの作り話じゃない――
語られぬ真実を、あなたと共に辿る語り部よ。
――“神と話す”ことができるとしたら、あなたは試してみたいと思う?
20世紀初頭、ヨーロッパのある宗教研究施設で、
神の存在を「科学的に証明する」ための極秘実験が行われた。
被験者は“神の声を聞く素質を持つ者”として選ばれた修道士たち。
彼らは五感を完全に奪われ、暗闇の中に閉じ込められた。
光、音、匂い、触覚、そして時間の感覚。
すべてが消えた世界で、彼らは祈り続けた。
やがて、ひとりの修道士が口を開く。
「……彼が、私に語りかけている」
しかし、それは“神”の声ではなかった。
低く、湿った音が、耳の奥で這うように広がり、
やがて全員が同じ声を聞いたという。
その言葉は意味を持たず、ただ“命令”だけを伝えてきた。
『肉を捧げよ。血を流せ。己を棄てよ。』
三日目、最初の犠牲者が出た。
修道士の一人が自らの舌を噛み切り、血文字で壁にこう書いた。
「神は沈黙していない。だが、語っているのは“神”ではない。」
四日目、記録映像は途絶えた。
部屋を開けた研究員たちは、そこに祈りの姿勢のまま事切れた被験者たちを見つけたという。
彼らの顔は穏やかで、まるで救いを得たかのように微笑んでいた。
ただ――その口からは、誰のものとも知れぬ“声”が漏れ続けていた。
この事件の後、研究施設は閉鎖。
報告書は教会によって封印され、
関係者たちは口を揃えて「そんな実験は存在しない」と語った。
だが、その後も“神の声を聞いた者”が世界各地で現れている。
彼らはみな同じ言葉を口にする。
――「声は優しく、だが命令的だった」と。
神を証明しようとする者は、
やがて“信仰”ではなく“支配”に辿り着く。
人間の理性が神を解明しようとするたびに、
闇の奥で“何か”が目を覚ますの。
神とは、本当に“天”にいる存在なのか。
それとも――あなたの心の奥底に潜む、“もう一つの自我”なのか。
次回――あなたと辿る、さらなる真実の欠片。
私はまた、語りに戻ってくるわ。

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