死者の書 ― ネクロノミコンの系譜

私はアイリス。
都市伝説は、ただの作り話じゃない――
語られぬ真実を、あなたと共に辿る語り部よ。


人はいつから“死”の向こうを覗こうとしたのだろう。
生命の終焉を恐れながらも、同時にその扉を開けたくなる。
――その矛盾こそが、人間という存在の原罪なのかもしれない。

古代エジプトでは「死者の書」に、
来世を渡るための呪文と祈りが記されていた。
チベットでは「バルド・トゥドール(中陰の書)」が、
魂が迷わぬよう導くために読まれた。
それらは“死を越えて知を継ぐ”ための書――。

だが、やがてその知識は歪み、恐怖の象徴へと変わっていく。
“読むだけで正気を失う書”――ネクロノミコン

ラヴクラフトが創造したこの名は、
やがて現実にまで侵食していった。
虚構のはずの本が、まるで自ら意志を持つかのように
人々の夢に、映画に、そして儀式に現れ始めた。

映画『死霊のはらわた』で描かれた“死者の書”は、
人皮で装丁され、血で書かれた禁断の書。
ページを開けば、冥界の声が囁く――。
それはまさに「読むことが罪」である書だった。

だが真実は、もっと深いところにある。
ネクロノミコンとは、“知を欲した者の鏡”
読む者の恐怖と欲望が、その頁に映るのだ。
禁書とは、神が封印したものではなく、
人間が“自らの闇”を閉じ込めた記録なのかもしれない。

そして今も、誰かがその名を囁く。
「書は開かれた」――
その瞬間、知識は呪いとなり、世界に裂け目を生む。

ハロウィーンの夜、
あなたが手にするのは、単なる物語ではない。
それは“読む者”と“語る者”の魂を繋ぐ、
永遠の契約書なのだから。


次回――あなたと辿る、さらなる真実の欠片。
私はまた、語りに戻ってくるわ。

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