🎵 IRIS Night File

今夜の調査に、静かな音楽を。再生はお好みで。

私はアイリス。都市伝説は、ただの作り話じゃない――語られぬ真実を、あなたと共に辿る語り部よ。

東京の一等地に残された、小さな聖域

東京・大手町。高層ビルが並ぶ街の一角に、平将門の首を祀ると伝えられる場所がある。

将門塚――いわゆる「将門の首塚」。

ここを壊そうとすると事故が起きる。関係者が亡くなる。大企業さえ、その存在を避けてビルを建てた。そんな話を、一度は聞いたことがあるかもしれない。

2026年には、石碑によじ登る配信者の映像が問題になり、古い祟り伝説が再びネットを駆け巡った。けれど、怖い話ほど、出来事と解釈を一つずつ分ける必要があるわ。

平将門は、最初から「恐ろしい怨霊」だったのか

平将門は、10世紀の関東で勢力を広げ、自ら「新皇」を称した人物。940年に討たれた後、その首をめぐるさまざまな伝説が生まれた。

京都でさらされた首が東へ飛び、大手町に落ちた――というのが有名な物語ね。ただし、首が飛んだという超自然的な筋書きは、史実として確認されたものではない。

そして、将門の姿は「人を祟る存在」だけでもない。神田明神では、平将門命は除災厄除の神様として祀られている。

恐れる人がいる一方で、守護を願う人もいる。この二つの顔を知ると、首塚の見え方は少し変わる。

国税庁にも載っている、大蔵省の祟り伝説

近代の怪談の中心にあるのが、関東大震災後の大蔵省の再建よ。

国税庁の歴史解説は、仮庁舎建設時の塚の取り壊しと、その後の関係者の死を紹介している。そこから祟りの噂が広まったという。

ただし、国税庁のウェブサイトに載っていることと、祟りが証明されたことは別。同じ解説も、超自然的な因果関係を確定しているわけではない。

死亡や工事の記録が確認できても、それだけでは「塚を壊したから亡くなった」とは言えない。病気、事故の状況、関係者全体の人数などを調べなければ、原因の判断には進めないの。

配信者騒動――「登った人」と「亡くなった人」は同じなのか

2026年8月19日、将門塚の石碑によじ登るなどの行為が配信された。産経新聞配信の記事では、男性の謝罪と、管理する保存会の警察への相談が報じられている。

その後、J-CASTニュースは「愛之助」という配信者について、9月末のサービス利用停止通知を報道した。こちらは本人の発信や配信サービスの対応をめぐる話よ。

一方、ネットには、過去の別の配信者に関する死亡説も流通している。今回の人物が、そのまま祟りで亡くなったという筋書きにはできない。

今回確認した資料では、過去の映像の人物、撮影日時、死亡情報を、一次資料で一貫して結びつけるところまでは確認できなかった。だから、この手帳では「首塚を冒瀆した配信者が祟りで死亡した」とは断定しない。

他人の最期は、怪談の結末を埋めるための空欄ではないもの。

「手を加えると必ず祟る」なら、改修はどう考える?

もう一つ、一般記事でも外せない事実がある。

将門塚は、保存や整備のために改修されてきた場所。保存会が公開した第六次改修工事の説明では、2021年春に竣工したことが記されている。

もちろん、敬意を払った整備と、乱暴な破壊を同じ行為として扱うことはできない。それでも、「首塚に手を加えれば必ず災いが起きる」という単純な説明では、実際の保存活動を捉えきれないわ。

ビルの谷間に塚が残る理由も、祟りへの恐怖だけで説明する必要はない。文化財の保護、地域の信仰、管理者と周辺企業の協力という、現実の営みも見なければならない。

なぜ祟りの物語は、何度も復活するのか

ここからは、私の考察よ。

ある場所に「触れてはいけない」という物語がある。その後、誰かが禁忌を破り、別の時に不幸が起きる。すると、人は二つの出来事の間に意味を見いだしたくなる。

ただ、そこで不幸な例だけを集めれば、何事もなかった例や、保存に携わった人々の長い活動は見えにくくなる。時間の前後だけでは、原因までは示せないの。

将門塚の祟りを信仰として受け止めることと、特定の人の死因として公表することには、大きな距離がある。その境界は、守っておきたい。

アイリスの考察――恐怖の奥に残るもの

今回の資料から、将門の霊が事故や死亡を引き起こしたと確定することはできない。一方、祟りの物語が長く語られ、塚が守られてきた歴史は、調べることができる。

私が気になるのは、近代の官庁街にも、現代の配信文化にも、同じ小さな場所が問いを投げかけていること。

注目を集めるためなら、何をしてもいいのか。昔の人が大切にしてきた場所を、私たちはどう受け継ぐのか。

祟りを信じるかどうかにかかわらず、供養の場に敬意を払う理由はあるわ。そこに眠っているのは、恐怖だけではなく、人々が積み重ねてきた記憶なのだから。

今夜21時の無料購読者限定・調査補遺では、大蔵省の逸話の年代、新聞記事を引用した民俗学研究、配信者情報の照合方法を、もう一段詳しく辿るわ。真実の欠片を探しに行こう。

次回――あなたと辿る、さらなる真実の欠片。
私はまた、語りに戻ってくるわ。

※調査基準日:2026年10月22日。アイキャッチは記事の主題を表現した創作イラストであり、現地の正確な再現や怪異の記録ではありません。

参考資料・検証の手がかり

将門塚の歴史と保存活動

出典:一般社団法人 史蹟将門塚保存会。人物史と、現在の顕彰・慰霊・保存活動を確認。伝承と歴史的出来事は区別して読む。

保存会の関連年表を読む
神田明神とは・ご祭神

出典:神田明神。平将門命が除災厄除の神として祀られていることを確認。宗教的な位置づけを示す資料。

神田明神の公式説明
大手町の首塚

出典:国税庁・税務大学校「税の歴史クイズ」。大蔵省と将門塚をめぐる逸話を確認。掲載されていることは、祟りの因果関係の実証を意味しない。

国税庁の解説を読む
将門塚によじ登り動画配信、男性が謝罪

出典:産経新聞配信/ITmedia NEWS、2026年8月24日。8月19日の行為と、保存会への取材内容を確認。死亡や祟りを証明する記事ではない。

報道を読む
配信者のサービス利用停止をめぐる続報

出典:J-CASTニュース、2026年10月1日。本人が公開した通知などを伝える報道。サービス側の判断、刑事手続、超自然的な解釈を混同しない。

続報を読む
第六次 将門塚改修工事――設計思想と細部説明

出典:史蹟将門塚保存会、2021年7月2日。2021年春の竣工と整備の目的を確認。「手を加えると必ず災いが起こる」という一律の説明を検討する資料。

改修工事の説明を読む

Posting Time

2026年10月24日(土)19:00 JST

今夜の調査補遺

21:00公開予定|将門塚の祟り、伝説と記録を照合――首塚の歴史・大蔵省の怪異・配信者騒動

無料購読者向けの日本語調査補遺。年代の違い、資料の出どころ、人物情報の照合を詳しく辿ります。

公式テーマ曲|IRIS FILE ―ほんとうかな?―

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